涙の数だけ
「『岩村先生は
『社会に出ればイヤな人とも付き合わなくちゃいけないときがある』
そう言ってましたけどあたし…そうやって割り切ってきたんです。
これからあたしの周りに
あたしの好きな人だけがいるワケじゃない、
そんなこと分かってた。
だから…あたしは我慢してきたんです。
なのに…それなのに岡田先生が優しいから…
みんなが…心配そうな目であたしを見つめるから
我慢…できなくなったんです』
ゆずちゃんがね?電話でそう言ってたの。
あの子は大人だわ
普通の中学生はあんな考え方、できないもの
「我慢しようとするだけ涙は溢れるばかりで。
あたし…弱いですよね」
ゆずちゃん、あの子は怖い
自分の非を認めるのって大人でも怖いでしょ?
それなのにあの子は自分が弱い、
そう言いきったの。
私…ビックリしちゃった。」
紗智の口から放たれる一言一言に俺は驚いていた。
やっぱり新垣はただ者じゃない。
そして、俺の手なんか借りなくても立ち直ることができるんだ。