涙の数だけ
『ただいま』
俺が家のドアを開けるとエプロン姿の妻がやってくる。
「お帰り。今日もお疲れ様」
俺の妻は元教師
同じ職場で働いていた。
『明日から野外学習だから』
「分かってますよ」
俺の妻…岩村 紗智(イワムラ サチ)
鬼教師と言われる俺の妻になぜかなった女
怖がることもなく、
いつの間にか俺の心の中に住み着いていた。
「今日もゆずちゃんは泣かせてました??」
紗智は新垣を知っている。
どうやらうちの学校にいる同僚に聞いているらしい。
それに俺も家で少しだけ話すときがある。
『今日は泣かせてなかったけど、笑ってた。
これでもか、ってくらいに』
「それは…余計に心配ね」
そう。心配なんだ。
アイツは少し笑い過ぎている。
普通より笑っている。