綺麗事
この人は一体なにがしたいのか全く理解で
きない。
そもそも、理解したくもない。
無視してそのままもう一度机に突っ伏そう
としたら止められた。
「はい、駄目だよ~。君は今から屋上に行
くんだよ。ほら、立って。」
そう促されるが。
「嫌ですよ。誰がそんな面倒くさい。」
また思わず本音が出てしまった。
この人と喋っていると変に心の声が漏れや
すい気がする。危険人物だ。
「早く行こう。総長が待ってるんだ。」
ほら嫌なことじゃん、と思わす心のなかで
突っ込む。
「はいそんな嫌そうな顔しないで行くよ」
そう言った影宮 葉月は細身の体のどこに
そんな力があるのかヒョイッと理苑を担ぎ
上げて教室を出た。
「えっ、ちょっと!なんなんですか!」
慌てて手足をバタバタさせる理苑に。
「大人しくしないと落ちるよ。それとも
落とされたい?」
なんて怖いことを笑顔で言ってくる。
思わず頬がひきつった。