綺麗事
初登校
5月のゴールデンウィークも過ぎてもうす
ぐでテスト期間な入ろうとする頃。
理苑は高校生になって初の登校ということ
で、職員室に来ていた。
「よ、理苑久しぶりだな!」
そう笑って片手を挙げるのは従兄弟であり
担任の沼田 篤 (ヌマタ アツシ)
「あっちゃん、久しぶりだね。」
理苑はクスクス笑いながら言った。
「あ?なに笑ってんだ。」
「ふふっ、だってあのあっちゃんが教師
してるって変だもん。あっちゃん不良だっ
たでしょ?」
「うわっ、理苑ひでぇ。」
高校時代の篤は金髪にピアスの王道の不良
で近所でも有名だった。
そんな篤が真面目に教師なんてしてるとは
思えないと思うのは理苑だけじゃないはず
だ。
「つうか理苑、体調大丈夫か?
入院してたんだろ?」
そう、理苑の初登校が一月も遅れたのは
体調を崩して入院していたから。
一昨日ようやく退院することができて
漸く学校に来れたのだ。