綺麗事
ふいに誰かに揺すられた気がして目が覚め
た。
「あ、鈴張さん起きた?あの、もうお昼な
んだけど。」
そう言って起こしてくれたのはお姫様。
「あ、ホント。ごめんありがとう。」
「う、ううん!ずっと寝てたね。」
「ん、気付いたら。ありがと。」
理苑がもう一度お礼を言ったとき。
「眞衣~!!屋上行くぞ~!!」
そう教室の入り口で叫んだのは深緑の髪の
イケメン。
お姫様を迎えに来たみたいだ。
「あ、じゃあもう行くね!」
そう言って立ち去るお姫様を見送ってから
理苑も立ち上がった。
教室を出て向かったのは裏庭。
大きな木の下にベンチがあって涼しそう。
ベンチに座ると理苑は溜め息をついた。
本当に久しぶりにこんなに長い時間外に
出ているからだろうか、体が重い。
体力も無くなっているのだろう。
紫苑が作ってくれたお弁当も食べる気力が
無くてそのままベンチに横になるとぽかぽ
かと温かくて眠気に負けて目蓋を閉じた。