歌い手+絵描き=?
「……イラストなら、『ベノム』だけどね!」

少し間を置いて、私は言う。

「やっぱ、絵師ってすごいよなー。歌では伝わり切れないことを、表現してくれるから」

私は、私よりも背の高い詩を見上げた。詩は、何だか上の空。

「……詩?」

私が声をかけると、私の方を振り向いて微笑む。

「突然だけど、桃に質問です。ハテナに当てはまる言葉を答えなさい!」

詩は立ち止まって、私を見つめた。

「歌い手+絵描き=?」

「え?」

「……考えてみて」

詩に言われて、私は考えてみる。

歌い手と絵描き……。

「うーん……」

私が考えている間、詩は笑顔で私を見ていた。

詩は歌い手、私は絵描き……。

「2人で1つの作品を作ってる……的な?」

私が問いかけると、詩は「それもあるかもね。後1つあるよ」と笑顔を崩さない。

「……えぇ……何だろう」

「正解はね。もっと輝ける、だよ。絵描きとしての桃も輝いてるけど、歌い手をしてた方が、もっと輝いてる。だからさ。桃も……いや、紅梅(こうばい)も歌い手になろうよ!それで、俺とコラボ一杯しよ」

詩の言葉に私は、コメントを思い出して「うん」と頷く。

本当は、私も人前で歌いたいんだ。そして、詩と一緒に一杯歌いたい。
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