家庭用ロボット。

「ミナ、早く取ってくれ」
《かしこ、まり、ま、した》

やはり、動く気配はない。

「はぁ…。自分で取った方が早そうだな」

庭の植木の手入れをしていた宗一郎は、脚立から降り、ミナの後ろに置いてあるハサミを取ろうとした。

《かし、こ、ま、り、ま、した》

突然、ミナが動き、後ろに置いてあるハサミを手に取った。

「なんだ、動けるじゃないか。早く貸してくれ」
《かし、こ、ま、り、ま、し、た》

ミナは、ハサミを宗一郎に向けるものの、離そうとしない。

「ミナ、早く貸せ」
《か、し、こ、ま、り、ま、し、た》
「ミナ！ったく…。明日、業者に頼んで、引き取りに来てもらおう。使い物にならないロボットなんか不要……だ…」

その瞬間、宗一郎の目の前を、鮮明な赤色の液体が飛び散った。それは乾き、茶色に変色した。