生徒会長の甘い毒牙
いい度胸、なんて言われても私はただ目をつけられたくないだけ。

けれどもこの人は私が顔を背けることを許してはくれなかった。


「1年?入学式ならとっくに始まってるけど」


「…知ってます」


「ふーん…何?遅刻?」


ここにいる理由をぴたり、と当てられてしまい思わず顔を上げる。


顔を上げるなんて肯定してるようなもんじゃん!私のバカ!


「図星じゃん。んでワケありなら聞いてあげなくもないけど」


見た感じネクタイの色は3年生を示す緑色。優しく、くしゃっと頭を撫でられたら余計に涙が零れそうになるじゃん…。


「高校生活が楽しみで気合いが入ってたんです。そしたら楽しみすぎて寝られなくて」


うぅ…。我ながらに恥ずかしい。


「ふっ…そんなこと?泣きそうだから何事かと思えば」


「すっ、すみません!」


慌てて頭を下げればまた頭に手を置かれる。

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