シロツメクサの花冠【完】
「一人暮らしなんですか?」
聡介に連れてこられたのは、ごく普通の一軒家。
リビングに入るまでにも扉はいくつかあって、一人で住むには広すぎるほどだ。
「ああ。兄貴が4年前家を出るまでは一緒に暮らしてたけど」
聡介は、咲智が作ったハンバーグを箸で切りながらそう言った。
「……俺が5歳の時、母親亡くなったんだよ」
「え……」
「父親は多分どこかで生きてるんだろうけど、母親が亡くなる前には離婚してたから」