シロツメクサの花冠【完】
「あれ、高梨?」
アトラクションから降りると、係員の人に声を掛けられた。
「奥山くん」
声を掛けられた方を向くと、制服姿の奥山がいた。
奥山は、咲智と同じ学科の人で、たまに講義で席が近くなるときに少し話す仲だった。
遊園地でアルバイトをしてると何かの機会でチラッと聞いた気がしたが、すっかり忘れていた。
「……俺と舞音、そこのベンチに座ってるから」
聡介は少し気を遣ったのか、咲智と奥山を二人きりにしてくれた。