【女の事件】遺恨の婚礼歌
第４話
12月４日のことであった。

この日、ひろつぐの部下の男性スタッフさんが販売企画のOLさんとの婚前の事前撮りの予定が入っていたので、部下の男性スタッフさんは婚前の事前撮りに行こうとしていた。

しかし、ひろつぐは男性スタッフさんにファイルをドサッとデスクに置いて、仕事しろとイカクした。

「あのな、今は勤務時間中だ!!勤務時間中は仕事をしろ!!今日中に、ファイルを全部片付けておけ!!分かっていたら言うことを聞けナマクラ!!イチャつき魔!!殺したろか!!」

ひろつぐは、男性スタッフさんにより強烈な言葉を浴びせた後、エントランスへ行った。

ひろつぐは、写真館のスタッフさんに『急な仕事が入りましたので、ピンチヒッターをお願いします…』などとわけのわからないことを口走っていた。

その日の夜のことであった。

ひろつぐが婚前の事前撮りを妨害した上に、販売企画のOLさんにちょっかいを出したので、販売企画の部長さんがオカンムリになっていたことを伝えに深江さんが来た。

この時、ひろみち夫婦が応対していた。

深江さんは、今回の問題で総務の男性スタッフさんと販売企画のOLさんが結婚をやめたとあつかましい口調でひろみち夫婦に言うた。

それを聞いたひろみちの妻は、ものすごく困っていた。

「ったく…ちえみさんは一体どこまで行っているのだか…ひろつぐさんが社内恋愛のカップルさんを別れさせたことを聞いたので、こっちは思い切り困っているのだよ…ブツブツ…」

その時であった。

ちえみがボロボロに傷ついた状態で帰宅をしたので、ひろみちの妻がビックリした。

「義姉さま!!その服装は…」
「大声を出さないで…頭いたいのよ…」

ちえみは、髪の毛がグチャグチャで、衣服がズタズタに破れて、ブラジャーをちぎられて、スカートの丈を３分の２切り裂かれてボロボロになって、右足にショーツがひっかかっている姿で居間へやって来たので、深江さんは慌ただしい表情でちえみに詰め寄った。

「ちえみさん…ちえみさん…」
「やかましいわね…なんなのよぉ…」
「ちえみさん…その姿は一体どうしたのだね!!」
「やかましいわね!!歩いて帰る途中で、レンコン畑に落ちただけなのよ!!」
「ちえみさん!!」
「何なのよ一体!!アタシに文句があるのかしら!!」
「ちえみさん!!ひろつぐさんが社内恋愛のカップルさんを別れさせたことが問題になっているのだよ…それなのに、こんな遅い時間までどこへ行っていたのですか!?」
「やかましいわねあんたは!!アタシがどこへ行こうとアタシの自由なのよ!!文句があるならひろみちの嫁に言うてよ!!」
「ちえみさん!!」
「やかましい!!ひろつぐのことなんか知らないわよ!!」

深江さんに思い切り怒鳴りつけたちえみは、部屋に入った後、力を込めてドアを閉めた。

深江さんは、話し合いをすることができないと言うて家に帰った。

ひろつぐが社内恋愛のカップルさんを別れさせたことが問題になったので、ひろつぐはショッケン…いいえ、ケーオー(グループ)自体をやめなければならなくなった。

ひろつぐから強烈な言葉を浴びせられた男性スタッフさんは、本社で働けないので海外事業部へ転向したいと会社に申し出てた。

そのことで、さらに問題が複雑になっていた。

男性スタッフさんは、希望通りに海外事業部へ転向が認められたが、ひろつぐは課長職交代を余儀なくされた。

ひろつぐは、12月いっぱいでキューデン本社をクビになる。

キューデン本社をクビになったあとは、新しい仕事を探す…または、東鳥生の製造工場へ転向するか、取引先の会社(伊予銀行かJAおちいまばりのどちらか)に出向するの３つしか選択肢がない…

ひろつぐが社内恋愛のカップルさんに暴力を繰り返していたこととちえみが男とトラブっていた問題で、家庭内は危ない状態におちいっていた。

どうすれば、家庭内の問題が解決するのか…

どうすれば、ひろつぐの結婚問題が解決するのか…

家族は、さらに迷走して行くばかりであった。
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