『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜
先生の車に乗った
ふたりで乗るのは久しぶりだった
運転席の後ろ
いつも私はここに乗って
先生の後ろ姿を見てる
広い肩幅
ハンドルをつかむ骨張った手
目にかかる長めの前髪が
フロントミラー越しに見える
私は運転席のシートに頭を付けた
シートがなかったらな…
そんなことを考えて
ひとりでドキドキした
「立花さん、具合悪い?」
シート越しに先生の声がした
「具合、悪くないです…
…ただ…ドキドキします」
先生の返事はなかった