『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜

「個展楽しかったですね」


月曜日
美術室で佐々野さんが言った



「先生、ありがとうございました」

「先生のお友達にもよろしく伝えてください」

ふたりで先生にお礼を言った



「佐々野さん、かわいくしてると思ったら
デートだったんだね」



恋をしている人は、かわいいな…

佐々野さんはいつもキラキラしてる



「はい
私、あの日、誕生日だったんです」



「じゃあ立花さんと1日違いじゃん!」

先生が言った



「えー!
先輩、ホントですか?」



「うん、私は昨日だったの」



佐々野さんの生年月日も
名簿に載ってたはずなのに…


先生は知らなかった



「先輩は、なんかいいことありました?」

佐々野さんが小声で聞いてきた



「いいこと?
んー…
佐々野さんは?
楽しい誕生日だった?」



「私は、彼と食事しました
それから、コレ、もらいました」


佐々野さんは
していたネックレスを見せてくれた



「いいな…」



たぶん先生は
私達の会話は聞こえていたけど
話に入ってこなかった



先生も彼女にはネックレスとか
あげたりするのかな?



私は先生からもらった筆で
キャンパスに色をのせた



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