『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜

「立花さん…」

先生に呼ばれた



「はい」



「コレ、一緒に教務室持ってきてくれる」



私はよく先生に雑用を頼まれる



美術部だからっていうのもあるけど
私は先生と廊下を歩けることが嬉しかった



いつも大した物じゃなくて
先生ひとりでも持てそうな物を
先生は私に頼む



「今日のお弁当なに?」



「えっと、今日は、玉子焼き、ウインナー…」



そんなふうに話しながら
教務室までの5分が私は幸せだった



もっと
美術室が教務室と離れてたらよかったのに…



わざとゆっくり歩いたりした

先生も私の歩調に合わせてくれる


それでも6分弱かな



幸せな時間は短く感じる

教務室から教室にひとりで戻る時間は
近いのに長く感じる



幸せな時間

幸せなのかな?私



片思いだけど



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