『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜
私は描くことに飽きると
先生の隣に座った
前は飽きることなんてなかったのに…
飽きるというより
きっと、先生が気になった
近くにいたかった
「なに?」
「んーん、なんでもない…」
先生の隣に座ってるだけでよかった
先生の体温を近くで感じたかった
ホントはもっと
くっついたりしたかった
先生の隣でジュースを飲むぐらいしか
私にはできない
「立花さん、なんかいい匂いする」
「コレですか?」
私は飲んでいたペットボトルを見せた
「んー、いや…
まぁ、いいや…
タバコ吸うから
ちょっと立花さん、あっち行って…」
近くにいると
先生は私を煙たがる
「はーい…」
「あ‥タバコあと1本…
買ってこなきゃ…
暑くて出たくないなー」
タバコをくわえながら
冷房の効いた部屋で先生が言った
「先生、タバコ、よくないですよ
病気になるんでしょ…」
「あぁ、ごめん…」
「どんな時、タバコ吸うんですか?
お腹空いた時?
イライラしてる時?」
「んー、集中したい時とか…
なんだろう、あと、口寂しい時とか?」
「ふーん…」
私には、わからないな…
「オレも普段は、別に吸わないんだ…」
私がここにいる時
先生はいつもタバコを吸ってる
「じゃあ…
私といると、イライラするの?」
「いや…
精神を安定させてる」
そう言って先生は少し笑った
「どーゆーこと?」
「大人は大変なの…!」
先生は
最後のタバコを吸い始めた
「先生、それ吸ったら、終わりね」
「…はい」