『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜
「おじゃまします」
なんか不思議だった
前の先生のアパートと違う
先生との思い出がなくなった気がした
「前のアパートより、広いですね」
「あぁ…うん、適当に座って
タオル、使う?」
「はい…ありがとうございます」
先生、彼女いるのかな…
「立花さん、ビール飲む?」
「本物ですか?」
先生は笑った
「どっちもあるよ
…あのジュースはないけど…
今度、買っとく…」
また来ていいのかな…?
「でも、私、もぉアレ飲んでないです」
「なんで…?
…味、変わったから?」
「先生なんで知ってるんですか?」
「オレも最近飲んだから…
…
久しぶりに飲んだら
立花さんの味じゃなかった…」
「…懐かしいですね…」
先生とキスしたことを思い出した
先生も私を思い出して
飲んでくれたのかな…
タバコの匂いも
雨の日も
傘も
ビールも
あのジュースも
全部、先生を思い出す
先生
私達、前みたいに戻れないのかな…