『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜

美術室に来た理由がもうひとつあった



私はスケッチブックを開いた

さっき見た風景をすぐに描きたかった



鉛筆を取り出して描き始めると
先生に言われた


「教室、戻りなさい」


私は先生を無視した



どぉしても今、描きたかった



「立花さん…」



クシュン…

返事の代わりにくしゃみが出た



「風邪、ひくぞ…」


先生はそう言って
自分のジャケットを脱いで
私の肩にかけてくれた



温かかった

先生の匂いがした



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