『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜

雨で
駅のロータリーは混んでいた



「ここでいいかな?」


「はい、ありがとうございます」


「コレ、ビニール傘しかないけど
持って行って」


「え、でも…」


「返さなくていいから」



男性は助手席にあるビニール傘を私に渡した



「じゃあ…ありがとうございます」


「うん、気を付けて」



ドン…


ドアを閉めると
車は右にハザードを出してロータリーを回った


私は車が見えなくなるまで見送った



誰だろう…

心当たりはなかった



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