『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜

「じゃあ先生、さようなら…」



「うん…気を付けて‥
また明日…」



帰りたくなかった



さようなら…って

もぉ会えなくなるみたい



「…先生…」



「…ん?」



また先生と目が合って

先生の手が私の髪を触った



ドキドキした



「桜…ついてた…」



私の髪についてた花弁を取って
先生は掌にのせて見せてくれた



淡いピンクの貝殻みたいだった



「綺麗…」



大きい掌



私が触れようとしたら
先生は花弁を下に落とした



暗い宙をヒラヒラ舞って

黒い地面に落ちた



「さようなら…」

私は地面を見たまま言った



「さようなら…」

先生の声が近くで響いた



< 75 / 344 >

この作品をシェア

pagetop