『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜
「じゃあ先生、さようなら…」
「うん…気を付けて‥
また明日…」
帰りたくなかった
さようなら…って
もぉ会えなくなるみたい
「…先生…」
「…ん?」
また先生と目が合って
先生の手が私の髪を触った
ドキドキした
「桜…ついてた…」
私の髪についてた花弁を取って
先生は掌にのせて見せてくれた
淡いピンクの貝殻みたいだった
「綺麗…」
大きい掌
私が触れようとしたら
先生は花弁を下に落とした
暗い宙をヒラヒラ舞って
黒い地面に落ちた
「さようなら…」
私は地面を見たまま言った
「さようなら…」
先生の声が近くで響いた