縁の下の恋
リョウは、願った。
このまま何事も無くただ時間だけが過ぎていってくれないかと…
大石の言葉も、由衣の話すことも何もかも耳には入らなかった。
大石が苛ついた様子で言葉を吐いた。
「リョウ君…提案なんだが、そろそろどうだろう?由衣との結婚のことを進めてくれないか?」
「その件は、以前に話したとは思いますが…由衣さんとは考えてはいません。うちの母がどう言ったのかはしりませんが…」
「リョウ…私は、ずっとずっとリョウと結婚するものと…お母様だって、賛成して頂いてるのよ!そうすることがリョウにとっても一番良いことだからって、おっしゃってたわ!」
「結婚は、誰かの為にするんじゃなく自分が自分と愛する人と幸せになる為にしようと思ってますので…」
「その相手というのは、由衣ではないと言うのか?…わしは、今まで誠心誠意君とここまで付き合って来たつもりでいるし、由衣は君のことを心の底から愛しているのだよ!分かっているだろう!君も!」
「有り難い話しだとは思いますが…」
「今まで、ここまで君がはっきり言うことは無かったはずなのに…まぁっ、まだ二人とも若いのだから、ゆっくりでいいから考えてくれたまえ!由衣も今日のところは…分かったな!」