縁の下の恋
「ああっ、ちよっと待って!!」
一理は、振り向けないまま止まった。
「初めて君に会った日のこと……僕は、覚えているんだ!乙女の祈り…だったよね!君も……」
「あのぅ!仕事がありますから……もうっ、これで…頑張って下さい!何処に行かれても、応援してますから…今日は、私照明係を任されたんです。補助ですけど。」
それだけ言うのが精一杯だった。
どうして涙がこぼれるのだろう。どんなことがあっても今まで泣いたことなど無かったのに。