縁の下の恋
どれだけの時間が経っていたのか…
今のリョウには時間など、止まってしまえばいいとさえ思っていた。
そんな中看護士に促され集中治療室から出る時が来た。
多分一理の両親なのであろうとリョウは思った。
(松平)
「あなたは……」
「僕は、橋本 リョウといいます。」
「リョウさんというと、あの……」
「ええっ、この度は、僕のコンサートの準備の最中にいちりさんが、こんな酷い怪我をされてしまい…どうも申し訳ありません!」
頭を深々と下げる。
「いやっ、一理の不注意かもしれないのだから…君が何もそこまで謝らなくても。」
そこへ、いきなり渡辺が聞き付け、駆け寄って来た。
「いえっ、いちりに限ってそんな不注意なんてあり得ないですから!俺っ、側にいた人に聞いたんですよ!ある女の人がわざと脚立を倒して行ったのを見たって!いちりは、なんも悪く無いですから……クソっっ、なんて女なんだ!いちりに何の恨みがあって、そんなことを…」
病院の廊下の壁を拳で叩いた。
「渡辺さんっ!そんなぁ、ホントに?一理はそのせいでこんな事になったってことですの?」
「そんな……まだはっきり分かった訳じゃないだろ?…深雪?今はただ一理が意識が戻ってくれることを祈ろう!…リョウさん!渡辺さんも、有難うございます!今日のところは、我々がおりますから、お帰りください!」