縁の下の恋
「ああっ…良かった…」
そう言うと一理は、ゆっくりと目をつむった。
そして
「渡辺さん?私のことなら、大丈夫ですから、仕事に行ってください。きっと私の母がこれからは付きっきりに来ると思いますから…」
「そっか!…じゃあ、終わってから、また来るわ!」
それだけ言うのが今の渡辺には精一杯であった。
病室を出てナース受付カウンターの前を通ると一理の母親が看護士と歩いて来た。
一理の病状が気になっていた渡辺は、母親を呼び止めた。
「お母さん!ちよっと良いですか?」
「渡辺さんっ!今まで一理の側に居てくださったのね?有難うございました。お仕事に行かれるのかしら?」
「いやっ!そんなことより、いちりの具合は…何か分かったんでしょうか?」