縁の下の恋


待ちに待ったその日は、あっという間にやって来た。


美優は、一理が見立てたワンピを身に纏いその日は、何時に増して上機嫌だった。



美優がこんなにわくわくするコンサートって、いったい、どんなものなのだろうか?



一理は、ピアノの先生とは海外で二度程世界でも有名なピアニストのコンサートを観に行ったこともあり、その時は、あれ程わくわくさせるものでも無く、上手かったな、と思う程度の印象しか持たなかった。



自分のバレーの発表会ですら、両親は、極端に感激してはいたものの、自分自身は至って冷静に、先生の指導通りいったのかどうかが、気になる程度であった。



時間通りに幕が上がらないことに、多少苛ついていた。


「リハーサルに時間を掛けるから、何時も、遅れるのよね!凄い細かいところに拘るんだって…プロだよねーー」



やがて会場の照明がすべて消された。



「いよいよだわ!!!来るわよ!ふふふっ」
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