縁の下の恋


その返事をしようとした、その時、会議室に渡辺が慌てて駆け込んで来た。


「いちりっっ!…はぁはぁはぁ…ああっ、間に合った…」


「渡辺さん!先日は、どうも有難うございました!驚かせてしまって…」



「いやぁぁ!まじ、びっくりした。でも、何かお前のルーツが見えた気がして良かった。それより、お前、どうするか、決めたのか?」


「渡辺っっ!ちよっと黙ってろよ!いきなり入って来て、俺が見えてないのか?いちりは、俺に話しに来たんだ。お前はホントにいちりのことになると、周りが見えなくなるだろ!もうっ、いちりは、決めたんだ。お前は、口出しするなよ!」



「ああっ、いえっ、渡辺さんにも、色々ご心配お掛けして申し訳ありません!自分なりに考えて、祖父が薦めてくれた仕事を今は頑張ってみようと思いますので…しばらくは、日本を離れようと…」



「……そっかぁ、決めちゃったんなら、それはそれで俺がとやかく言うこと無いから、……そっかぁ…」


「何っがっかりしてんだ?いちりの再出発なんだぞ!渡辺っ!祝ってやろうぜ!……そうだ、久し振りに源さんとこでも、なぁ!いちりっ、行くか?なぁ!」



「はいっ!そうですね!私も久し振りですので、美優も誘って良いですか?」



「ああっ、もちろん!渡辺っ?いいな?悪酔いするんじゃないぞ!」
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