縁の下の恋


リョウは、今までの自分をずっと思い返していた。


光の当たっている自分ばかりを見て来た自分が果たして良かったのだろうか…


何処かに暗い自分を隠そうとしていたのではないか、と…



まだ……はっきりとは見えては来ないものの、今まで気付かずにいた心の奥底を、今の自分にみる勇気を与えて貰った気がしていた。



それほど、今まで惰性で生きていたのか?



すべての着飾りを拭い捨てでも…やはり自分には、ピアノがあった。



今の、素直な思いをピアノに込めて、生きてみよう。


アメリカでの初日は、そのリョウの思いが、そのまま人々に伝わるコンサートとなり、最後は感動の涙を誘うこととなった。
< 233 / 271 >

この作品をシェア

pagetop