縁の下の恋

(一理の再出発)

一理は搭乗手続きを終えて、後は飛行機に乗るだけであった。



見送りに駆け付けてくれた、結城や渡辺、それと珍しく涙ぐんでいる美優がそこにいた。


「一理?何時日本に帰って来るの?私からは、会いに行けないもの…ねぇ!渡辺さんも、寂しいよね?……」


「いちりは、こうっと決めたら、絶対に変えない奴だから…仕方ないよな?けど、たまには日本にもこんな待ってる奴も居るんだから、帰って来いよ!いいな?」


「はいっ、判ってます!今までホント色々と有難うございました。結城さん、渡辺さん、…美優っっー…身体に気を付けて……」


一理には珍しく絶句してしまった。


「なんだ…いちりらしくないぞ!頑張ってこいよ!どんな国へ行っても、お前は、お前らしく生きていけよ!お前なら大丈夫っっ!さぁ!行け!振り向くんじゃないぞ!」



「…はいっ…行って来ます」



皆に一礼をし一理は搭乗口へ向かった。



一理が向かった先は……



中国の北京であった。
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