縁の下の恋


一曲めの綺麗で可愛い曲とは一転、革命は、まるで激しい表現をする為に側で聴いてた従業員の手も思わず止まってしまったのだろう。



当の一理は、一点の考えごとをしながら弾いていた為に回りにそれだけ従業員が集まって来て聴いてた事に気付くはずもなく革命が終わり回りを見て初めて状況に気付かされ、拍手の音で振り向いて初めて分かった。


責任者の人が近付いて来た。


「ピアノの教師でもしておいでなのですか?」


「いえいえっ、ただの趣味で弾いてるだけです。すみません!ご迷惑かけて…こんな時間に。」



「いえっっ!私達の方こそ、仕事に張りを頂きました!是非またお越し下さい!住まいがお近くなら、うちはいつでも大丈夫ですよ!たまに無名のピアニストが来て弾いてくれる時があるくらいで…」


「有難うございます!いえっ、これで…充分です。遅くにホントにすみませんでした。」

一理は深々と礼をし、アパートに戻った。
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