縁の下の恋
一人が寂しいなんて…
今まで感じたことなど、一度も無かった一理である。
これから先目まぐるしい日々が待っているのである。
プロジェクトチームの中でも、通訳は一理一人である為に大切な役割を担っている。
森本の祖父の存在もあり、回りの人達にはかなり気を使って貰っていることがかなりプレッシャーに感じていた。
前とは違い、一理を「いちりっ!」なんて呼ぶ人は一人も居るはずも無く、
……「松平さん!…」ぐらいならまだ良い方で、ある人など、「お嬢さん!…」
思わず、ムッとしてしまったり…
「仕事なので、お嬢さんってのは、止めてもらえますか!すみませんが」
打ち合わせの際にはっきりと言ってしまった。
ある一人の技術者が、
「私らっ!つい、会長のお孫さんって、思ってしまいがちなもので、失礼があっては、と思いまして…いやいや参りますね。」
「仕事の上で、要らぬ気遣いは結構ですので、分からない事はどんどん訊かせて貰いますから、宜しくお願いします!」