縁の下の恋


…有名なピアニスト~


それだけじゃあ分からないではないか、



暫く…考え込んでみたものの、一理は、呼ばれて直ぐに席に座り仕事が始まった。



要人達との会席も、こう度々ともなると、多少一理にも慣れという余裕も出て来た。



母親が気を回して用意してくれた、何とも言い難いスーツも、ワンピースも何気に助かったこともあり、こんな場を乗り切ることも出来るようになってきた。



何も考えないようにしよう。と…



アパートに戻って、明日からの予定をチェックしながらも、やはり…



どうしても、頭の片隅には、誰が来るんだろう、と思ってしまった。



でも…あんな場所じゃあ、演奏したって、誰も聴きいっては貰えそうにないはず…



そうだ!何処かの誰かに違いないはず。



何を考えてるのやら!



スケジュール帳をバタンと閉めて、頬を二度叩いた。
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