縁の下の恋


まだまだ到底仕事の流れが、一理には掴める訳もなく、ひたすら言われるままに補助のそのまた補助をする仕事に追われていた。



リハーサルは、本番さながらの様子で、結城がピリピリしているのが、一理にも判るくらいスタッフ全員が緊張していた。



「今日は、何時もより、念入りだな!…初めての会場だからかなぁ…」


とあるスタッフが、口ずさんだ。


(一理)
「そうなんですか?」


思わず小声で聞いてみた。



「結城さんが言ってた、いちりって、君のこと?この仕事初めて?俺三年目。あっ!名前からだよな!渡辺誠、よろしくな!……この雰囲気に慣れるの大変だよ!まぁ回数重ねていくうちに、判るって。」



「はい!渡辺さんっ、有難うございます。また色々教えてください!」


「ってかぁ、挨拶真面目すぎ!それと、誠でいいからさ!」



「ええっ!いきなりは、失礼かと。私は今はまだ…入ったばかりですし…」
< 80 / 271 >

この作品をシェア

pagetop