王子様に恋をした
淑女教育は、テーブルマナー 話し方 挨拶 ダンス 語学 姿勢 ホストになった時のおもてなし等々で、成人する16歳(この国では16歳が成人で、15歳迄に社交界デビューを果たす)迄にひと通り出来ておかないといけません。

家庭教師も付くが、基本的に色々完璧なお母様と執事から指導してもらっていました。

「ほらアイリーン。姿勢が崩れていましてよ?ちゃんとなさい!!」

「お嬢様、何度ご指摘申し上げたら直されるのですか?そこでのステップは違うのです!」

「淑女たるもの、いついかなる時も笑顔なのです。感情を出してはなりません。」

「アイリーンお嬢様。そこの発音は違うと何度も申し上げました。そろそろ正しい発音を覚えていただけますでしょうか?」

私は毎日厳しく指導して貰うのですが、元々余り聡い子ではなかった為、なかなか上達しませんでした。

こんな私でしたが、ただ一つだけ、お母様にも褒めていただける事がありました。

それはお菓子作りでした。

お母様は、貴族として生活をしていく事が出来なくなった時の為に、料理が出来る事も淑女教育の一環とお考えで、私は毎日厨房に入り、シェフからお料理やお菓子作りを習いました。

ティータイムに用意するお菓子を用意するのは私の役目でもあった為、毎日思考を凝らし様々なお菓子を用意しては、お母様とのティータイムを楽しみしていました。

「アイリーンの作るお菓子は本当に美味しいわ。毎日ありがとう。」

「お母様にそう仰っていただけて、私はとても嬉しく思います。これからも美味しいお菓子をご用意して、お母様に喜んでいただきたいですわ。」

「お嬢様。お菓子作りだけでなく、他の事でも奥様に褒めていただけるよう、精進なさいませ。」

執事のカイセルに窘められ、私は思わず肩を竦めてしまいました。
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