王子様に恋をした
努力の甲斐あってか、

「いつも美味しいお弁当をありがとう。栄養バランスもいいし、彩りも良くて、君の旦那さんになる人は幸せになれるだろうな。」

と竜二さんが言ったので、私はすかさず

「だったら私の旦那さんになって下さい。」

と逆プロポーズをしてしまった。

言ってしまった後、顔から火が出たかのように真っ赤になり、恥ずかしくて俯いてしまった私の頭に降ってきた言葉は、

「いきなり旦那は無理だけど……なら俺と付き合ってみる?」

だった。

私は真っ赤な顔で口をパクパクさせて竜二さんを見上げた。

「い…いいんですか?」

「良いも何も、付き合って欲しいんでしょ?」

笑顔で右手を出して来た竜二さんに

「よろしくお願いします 。」

と差し伸べられた手を握った。


忙しい竜二さんは、土日も接待や出張が入り、私達はあまりデートも出来ずにいたが、毎晩LINEや通話をして、楽しい時間を過ごしていた。

竜二さんは本当に優しい人で、いつも私を気遣ってくれる。

私達は上手くいっていた。
いや…いっていると思っていた。
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