王子様に恋をした
御者の

「侯爵家に到着致しました。」

の声に、馬車の窓から外を覗き見ると、夕暮れではありましたが、綺麗なお庭が見えました。

「綺麗なお庭だわ！今度また明るい内に来てみたわ。」

と小さな声で呟いていた事を聞かれているとは思ってもいませんでした。

馬車を降り、お屋敷の中に入ると、広く綺麗なエントランスを抜け、今夜の舞踏会が行われるホールへと入りました。

流石ガーディランス侯爵家です。そもそもガーディランス侯爵様のご党首のお母様は、王家であるアンダーソンのご出身。ガーディランス侯爵のご嫡男のランド様は、リュークアッセンドラ殿下とは縁続きのご関係なのでした。

リュークアッセンドラ殿下とランド様は、1歳違いということもあり、『リューク』『ランド』と呼び合い、お小さい頃はよく双方のお屋敷のお庭で仲良く遊んでいたとの事でした。

そんな仲の良さもあるのか、リュークアッセンドラ殿下は、1歳年下のランド様を補佐につけ、王太子としての執務にあたっておられました。

今日はそんなランド様のご生誕祭なのですから、リュークアッセンドラ殿下がお越しになられるのは当然の事であり、お年頃のお2人のお妃様･ご婚約候補として伯爵以上の令嬢が集まりました。

< 22 / 32 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop