王子様に恋をした
ホールに入り最初に目を奪われたのは、天井の豪華なシャンデリアと壁に飾られた素晴らしい絵画の数々でした。

ガーディアン侯爵様は油絵の腕前はプロ並みだとの事でしたので、なるほど流石だなぁと思いながら、家族とは離れ1人壁の絵画を見入っておりました。

「随分と熱心に見ていらっしゃるのですね?」

優しい声色に驚いて振り返ると、そこにはリュークアッセンドラ殿下と見知らぬ男性がたっておられました。

私は慌てて最上級のご挨拶を致しました。

「ご無沙汰しております、リュークアッセンドラ殿下。お元気そうで何よりでございます。」

「アイリーン嬢も元気そうですね。良かった」

そうニッコリお笑いになったお美しい笑顔に見とれていると、ふと視線を感じ其方を見やると、殿下のお隣の男性からじっと見つめられているのでした。

私は小首を傾げ

「どうかなさいましたか?」

とお尋ねすると、殿下がこう仰いました。

「こちらは、ガーディランス侯爵子息のランドだよ。……ランド、こちらはシヴェルディア伯爵令嬢アイリーン嬢。」

「あら、そうでしたか。ランド様。アイリーンでございます。この度はご生誕おめでとう存じます。」

とカーテシーを致しましたが、ランド様は直立不動のままで何もお言葉を発せられませんでした。
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