王子様に恋をした

第3幕 誕生祭

その後固まってしまったロイド様を、殿下は笑いながら他所に連れいかれたので、私はまたその場に佇み、壁の絵画を眺めては感心していました。

暫くすると、壇上にガーディアン侯爵ご夫妻が上がられました。

侯爵様は、よく通るお声でこう仰いました。

「今宵は私共の愚息ロイドの誕生祭にお集まりいただきありがとう存じます。ロイドよりご挨拶申し上げます。ロイド。此方へ。」

促され壇上に上がられたロイド様は、

「ガーディアン侯爵家嫡男ロイド•J•ガーディアンにございます。此度は私のような若輩者の為にこのような盛大な誕生祭を開催してくださいました両閣下及びお集まりくださった皆様には、感謝の念しかございません。本日お忙しい中お越しくださいましたリュークアッセンドラ王太子様の側近として宰相として精進を重ねてまいる所存でございます。今後共、宜しくお願い申し上げます。」

と仰い、深々と頭を下げられました。そんなロイド様に惜しみない拍手と賞賛の言葉がかけられました。

侯爵様もたいそうご満悦のご様子で、お首を縦に振りながら目を細めておいででした。

私もご立派な挨拶をなさるロイド様を尊敬の眼差しで見ておりました。

「では、誠に恐れながら、王太子殿下にもお言葉を頂きたく、お願い出来ませんでしょうか。」

と侯爵家執事のセオドラが殿下に近づき、リュークアッセンドラ王太子殿下にもご挨拶を促しました。

殿下は笑いながら「承知した。」と仰い、ロイド様のお隣に並ばれました。
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