戀のウタ
「そりゃあお前のドジ加減で頑丈じゃなかったら今頃病院送りだろ」

「ひっでーな。もうちょっと言い方あるだろ?」

「ばーか、褒め言葉だっつーの」


 床に座り込んだ俺に乱暴な言葉を口にしながら木村が手を差し伸べる。
 俺は差し出された手を取り立ち上がり制服に付いた埃を払った。


 あー今日で3回目か、階段落ち。今のが1番酷かったけど。

 やっぱ掃除中に考え事なんてするもんじゃないな。
 いつもなら階段から落ちるのなんて3日に1度くらいなのに。

 …そのくらい昨日の事が堪えてるのかな。

 「かな」じゃなく堪えてるからこうなんだろうけど。


 俺は今朝からのことを思い出しそう考える。


 今朝はなんとかミチルと一緒に登校したけど会話のキャッチボールは大暴投だった。
 会話だけでなく一緒に歩くにもいまいちミチルとの距離が掴めなくて人1人分のスペース取ったし…。

 学校に着いてから改めてミチルの様子を窺ったけどなんというか…俺の勘だけどどう接すれば良いか迷っている感じがした。

 「俺も一緒だよ」って言えればよかったけどそんな言葉をかけるのも憚られるぐらいミチルも元気が無くて…。

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