戀のウタ
「恭介、小さい頃結構いじめられててさぁ」

「…まぁあの鈍臭さじゃね」


　質問の答えにしては的外れな言葉。

　だが里奈は大人しく山内の言葉を聞く。
　きっと関係があることなのだろう。


「で、いっつも助けてたのが松永。それが昔っからの関係なんだよ、あの２人の」

「でも…流石に今回は手助けした方が良くない？」

「役目を取るの、松永にとって苦痛だと思うよ。前に俺が松永の代わりっぽいことした時も口には出さなかったけど寂しそうなツラしたし」


　その言葉を聞いて里奈は黙った。

　ミチルにとって恭介の隣と言うのは絶対的な基点であるのだろう。
　ならば下手に気を使って手出しするべきでは無いのかもしれない。

　そうは思ってみたもののやはり何も出来ないのは気が重い。

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