戀のウタ
彼女は個人的な感情を出さないように、いつも通りの振る舞いをするようにと心に言い聞かせてトークボタンを押した。
同時にドアの向こう側との音声回線が開く。
「三宅技術統括、入出許可を」
「はい、わかりました」
風貌に見合った低く威圧感のある声が機械越しに響く。
千鶴はその声とは対照的に柔らかい女性らしい声で応じた。
トークボタンの横に並んだテンキーにパスを打ち込みロックを解除する。
パスの認証を知らせる電子音が鳴ると圧が掛って硬く閉ざされていたドアが軽い排気音と共に開いた。
ドアが開くとがっしりとした体躯が見える。
大柄で鍛えられた体が無駄のない動きでラボへと侵入し千鶴へと向かって来きた。
入室した氷川を見とめ千鶴は笑顔で彼を出迎える。
「こんにちは。ミーティングブースの方がいいかしら?」
「いやここでいい」
「じゃあ立ち話もなんですしコーヒー入れますね」
「長居はしない」
千鶴の気遣いを氷川は短い言葉で辞退する。
実直、というよりも無駄を極力省いた言動に彼女は少し困った風な顔をして軽く息を吐いた。
何も持て成さない訳にもいかないので手近にあった椅子を勧める。
それだけは受けて男は簡素な椅子に大柄な体を浅く座らせた。
そして氷川はすぐに本題を切り出す。
同時にドアの向こう側との音声回線が開く。
「三宅技術統括、入出許可を」
「はい、わかりました」
風貌に見合った低く威圧感のある声が機械越しに響く。
千鶴はその声とは対照的に柔らかい女性らしい声で応じた。
トークボタンの横に並んだテンキーにパスを打ち込みロックを解除する。
パスの認証を知らせる電子音が鳴ると圧が掛って硬く閉ざされていたドアが軽い排気音と共に開いた。
ドアが開くとがっしりとした体躯が見える。
大柄で鍛えられた体が無駄のない動きでラボへと侵入し千鶴へと向かって来きた。
入室した氷川を見とめ千鶴は笑顔で彼を出迎える。
「こんにちは。ミーティングブースの方がいいかしら?」
「いやここでいい」
「じゃあ立ち話もなんですしコーヒー入れますね」
「長居はしない」
千鶴の気遣いを氷川は短い言葉で辞退する。
実直、というよりも無駄を極力省いた言動に彼女は少し困った風な顔をして軽く息を吐いた。
何も持て成さない訳にもいかないので手近にあった椅子を勧める。
それだけは受けて男は簡素な椅子に大柄な体を浅く座らせた。
そして氷川はすぐに本題を切り出す。