戀のウタ
　まだ笑いの続く教室でアタシは項垂れていると恭介も同じように項垂れる。

　教室を見渡しクラスメイトの笑い顔を見ていると当分はこのネタを引っ張られそうだ。

　そんな心配をしていると恭介が頭を掻きながら小さく頷き「心配かけてごめん」と謝ってきた。

　そしてポツリと呟く。


「でもさ、やっぱ喧嘩とか無いほうがいいし止めれるもんは止めたいじゃん」


　とても平和主義な言葉だとアタシは思う。

　恭介は弱いしドジだけどそういうところだけは芯が強い。
　よく喧嘩に首を突っ込むのは「喧嘩なんてしなければいい」という恭介なりの考えからだ。

　だけどこんなんじゃあ体がいくつあっても足りないんじゃないかと思う。

　そんなアタシの考えを見透かしたように隣にいた恭介が言う。


「ミチルの迷惑になんない程度にやるからさ。…守りたいんだ」


　大きな声でなかったがしっかりと、そして強い気持ちのこもった声に思わずアタシは恭介を見上げる。


　恭介と視線がかち合うと隣にあった手がぽんぽんとあやすようにアタシの頭を撫でた。
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