戀のウタ
　どうやらアタシが起き上がろうとしたところに恭介が覗き込もうとしてぶつかったらしい。

　半分以上涙目の恭介がアタシを見つめる。
　いつもと変わらないドジぶりに不思議とぶつかった痛さが安心に変わった。


「恭介、ここどこ？それにアレって…」

「そ、…それは…。」


　恭介がいたことと、その恭介がいつもと変わらぬ恭介だということを確認するとアタシは今の状況とあの体育館での出来事が何だったのかを問いただす。

　周りを見て分かるのはここがどこかの医務室のようなところで見た事がない場所であるということ。

　そしてアタシはあの後このベッドに寝かされ介抱されていたということはこの後に「なにか」があると予想できるくらいだ。


　じっと恭介を見て答えを待つが恭介ははっきりと言わない。

　言いよどむところを見るとここが何処でどういった事情があるか知っているみたいだ。
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