戀のウタ
 確かにアタシの前で恭介は尋常ならぬ力とスピードで数人の男をねじ伏せた。

 アタシだって武道をやっている人間の端くれだ。
 その時の恭介の動きが『強い』の一言で片付けれらる動きではなかった事ぐらい分かっている。

 あんな動きは生身の人間では出来ない――


「恭介、ホントに??」


 アタシは先ほどの言葉を心の中で撤回し、恭介に聞き返す。

 すると恭介は静かに頷いて続けた。


「ミチル、小学校の時に遠足で行った御梁山(ミヤナヤマ)のこと覚えてる?」

「…えっと恭介が山道で滑って怪我した…」

「いやそっちじゃなくて…まぁそれも事実だけど。隕石落下跡のこと」

「20年ぐらい前に落ちたって…あれ?」

「そう、それ。実はあれ、ただの隕石じゃなかったんだ」

「ただの隕石じゃなかった、って…」
 

 神妙になる恭介の顔と声のトーンにアタシも半信半疑ながら声のトーンが落ちる。

 そこに千鶴さんが補足するように言葉を続けた。
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