戀のウタ
「騙すつもりは無かったんだ…。でも言わなきゃいい、ってことでもなかった。本当にゴメン。」


 目の前の恭介が頭を垂れる。

 頭を下げているので表情は見えないが小さく震える肩と回りに纏う空気で私は恭介がどんな顔をしているかすぐに分かった。

 いつもの、謝るときの恭介。


 いつもと同じなのに先ほどの言葉のせいで何かいつもと違う気がした。


「ごめんなさいね。口止めしていたのはこちら側…カイロスプロジェクトチーム、いえ特技研の権限でそういうことになっていたの」

「…特技研?」

「『政府特殊技能研究所』。ここ、政府直轄の研究機関なんだ」

「表向きには日本の最先端技術の研究開発機関だけど私達のプロジェクトは彼の生体コアとなっている…、『カイロスエネルギー』の解析・転用を目的としたチームなのよ」


 恭介と千鶴さんの言葉に更に自分という存在が遠のくのを感じた。
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