戀のウタ
 だからあの場で氷川が指揮を取っていたのかとアタシは納得する。

 だけどやっぱり彼の態度はいい気がしない。
 それに事情があるとはいえ軍事転用されることも。

 その気持ちをすぐに感じ取った恭介がアタシの頭を撫でた。


「大丈夫。軍事転用っていっても俺は戦争の道具になるつもりないし絶対にさせないから」


 アタシは上目遣いに恭介の顔を見る。

 その顔はいつもの頼りないものではなく、はっきりとした意思の見える顔だった。
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