戀のウタ
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 その後アタシと恭介は千鶴さんの説明を受けて帰ることになった。

 沢山説明されたが専門用語が多かったのと現実味の無い話のオンパレードで結局半分以上はよく分からない状態だった。
 一応、恭介が分かり易く噛み砕いて説明してくれたけどどこかで信じたくない気持ちがあったのだと思う。

 未だに分からない事が多かった。

 とりあえず分からない事だらけだけど恭介と特技研の秘密を知ったアタシの扱いは「他言無用で」と念押しされただけだった。

 正直な話、ここまで話されたのだからどこかに監禁されてしまうんじゃないかと思ったがアタシがお母さんに断りを入れて外出しているのと恭介の幼馴染である、ということもあってらしい。

 不信に思われない為にも、とのことだ。


「ごめんな、厄介な事に巻き込んで」

「ううん、迷惑になったの恭介の方でしょ?」


 街の明かりもだいぶ消え道なりに並んだ街灯の下をふたりで歩く。

 アタシが乗ってきた自転車は恭介が押してくれているので自転車を挟んでアタシ達は話しながら歩いていた。


 家に向かう上り坂はいつもと同じで隣に恭介がいるのもいつも通り。

 だけど間に自転車があるのと同じくなんだか隣合っている気がしなかった。

 いつもと違い歯切れの悪いアタシの声に恭介は足元に視線を落とす。
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