戀のウタ

縺れたこころ

 結局、家に着いたのは時計の針が次の日を指し示す頃だった。

 玄関に入ってすぐお母さんが仁王立ちで待ち構えていたがアタシの顔と恭介の平謝りを見て何も言わずに家に上げてくれた。

 勿論、ノートは持って帰れなかった。
 だけどそんなことよりも知ってしまった事実の方が重大でずっと頭の中でぐるぐる回っている。
 それ以外何も考えれなかった。


 部屋に戻りベッドに倒れ込む。
 見上げた天井はいつものもの。
 17年間見てきた変わらないものだ。


 だけど同じように17年間見てきた恭介はこの夜を境に違うものとなった。
 いや、もっと前から違っていたかもしれない。


「恭介が…アンドロイド」


 アタシはポツリと口に出して確認してみる。

 『アンドロイド』

 人の形をした機械。

 SF映画やアニメの中のフィクションの存在だと思っていた非現実の存在。


 だけどその『非現実』はこともあろうに自分の身近な、1番近しいものがそれだった。
 いつも穏やかで良く笑う、何かにつけてツイてなくてドジな恭介が人の形をした機械だなんて…。
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