戀のウタ
 天井を眺め飽きたアタシは寝返りをうってぼんやりと考える。


 恭介がアンドロイドだとしてアタシはどうするべきだろう。

 今まで通りに接するの?

 少し距離を置く?


 生まれてからずっと恭介がアンドロイドだったのだから今更どうこう言うことは無いと思う。

 確かに体育館で見た恭介はアタシが守らなくても、いやアタシ以上に強かったけどやっぱり目が離せないほどドジで優しい。


 だけど、だけど心のどこかが引っかかる。
 恭介が人ではないこと、ではない。
 すごく漠然とした「何か」。


 それが得も知れない不安に似た感情となってアタシの心の中に住み着き始めている。

 答えの分からないもやもやとした感情はどんなに順序立てて考えても答えが出ない。

 考えても辛くなるだけだからアタシは考えるのを止めておとなしくベッドに潜り込んだ。

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