戀のウタ
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 そんな状態でベッドに入ったもんだから寝起きは最悪で起きた時にはいつも家を出る時間の15分前だった。

 急げば間に合う時間だけど眠りが浅かったせいで体がだるい。
 それに昨日食らった一撃がまだ響いていてお腹が痛かった。


 アタシは少し考えて1時間目はサボることすると携帯に手を伸ばした。

 メールのボタンを押し新規メール画面を立ち上げて2時間目から出ることを伝える文章を打ち込むと宛先選択で指が止まる。


 履歴で1番上にある恭介の名前。


 いつもなら迷わず恭介に送るところだが昨日のもやもやがアタシの指を止めた。

 しばらく迷ったが送らないとどうにもならないので恭介の下に表示されていた里奈にカーソルを合わせてメールを送ってから身支度を始めた。



 昨日の今日だからお母さんも何も詮索せずに朝ご飯を出してくれた。

 アタシは目の前に出された朝食にいただきますと手を合わせて箸を付ける。

 ダイニングに置かれたテレビを見ながらお味噌汁を啜る。
 ふわりと香る味噌の香りを嗅ぎながらニュースを見るがいつも通り、景気がどうの、汚職がどうとといった明るくないニュースばかりだ。

 勿論、昨日の出来事や人に限りなく近いロボットが開発されました、なんてニュースも無く。


「ねぇお母さん」


 キッチンで洗い物をしている最中のお母さんに声をかける。
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