戀のウタ
 香苗とは小学校時代からの付き合いだからどういう意味で言っているかは何となく想像がつく。

 ああ、からかわれてるなーと思うとムキになるのも格好悪いのでアタシは香苗の言葉を軽く流した。


「そう?」

「イケメンだと思うよー。眼鏡好き女子からはチェック入ってるんだから!まぁミチルがいるからみんな告んないけどね」

「…ちょっとそれどういう意味よ?」

「いい加減、見ててまどろっこしいって意味に決まってンでしょ?自覚無いならそれはそれでタチ悪いよ」


 明らかな挑発の言葉だ。

 いつもならさらりと流せる挑発なのに昨日から続くもやもやとした不快感が必要以上にアタシを苛立たせる。

 ムキになっちゃ駄目だと自分に言い聞かせるけどその気持ちとは裏腹な言葉が口を突いて出てしまう。


「自覚も何も…」

「じゃあなきゃアンタの気持ちはただの恭介くんへの依存じゃん」

「香苗いい加減に――」


 香苗の物言いに我慢がならず強い語調に変わる。いくらなんでもここまで言われる理由が無い。

 大体香苗はアタシと恭介の何を知ってるっていうの!
 アタシが恭介を守るのは当然で――

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