戀のウタ

　＜当然？＞


　自分で思っておきながら「何で？」という疑問が沸き上がる。


　小さな頃から一緒だったから？

　家が近かったから？

　幼馴染だから？


　そこに恭介を守る理由はある？


　＜アタシが恭介に依存してる？＞


　『依存』という言葉がまるで静かな水面に落ちた一滴の雫のように幾重にも波紋を広げる。
　

　恭介にとってアタシは何なのか？
　アタシにとって恭介は何なのか？


「アタシは―――…」


　昨日の晩からずっと考えていた事が、堰を切って溢れ返る。
　まるで濁流のようなまとまりのない感情がアタシの中で渦巻き唇を振るわせた。


「アタシは…！」

「ミチル危ない！！」


　遠くで里奈の声が聞こえる。

　えっ…と意識がそちらに向いた瞬間、視界の端に黒い影が映り衝撃が走っる。
　バン！と横っ面に何かが当たった。その衝撃でバランスを崩し更にガツンと痛みが走る。

　一瞬のことで何が起きたのか分からないうちにアタシの意識が暗転した。